新入社員の皆さんは、たくさんの期待と少々の不安を持って、新しい日々を始められたことと思います。
会社勤めの先輩として、皆さんを応援しています。
実際に街で新入社員と思われる方々を見かけると、通りがかりの何の縁もない私ですが、その方々の会社生活が幸い多く実りあるものであることを祈っています。
なので、このシーズンの移動中は忙しいのです。心の中のお祈りで。
ところで、かつて私も新入社員の時代がありましたし、長い会社員生活の中でたくさんの新入社員の方と接してきました。
その中で感じていたことや実際にアドバイスしたことなどがあります。
会社には文化があります。
その会社独自の文化です。
私はいくつかの会社に勤めたことがあります。
職務や業務の流れといった組織に関することはもとより、細かい話しですが、電話の応対の仕方や文書の書き方、あいさつの仕方など、会社によって異なります。
そこでまずお勧めしたいのが「先輩の仕事ぶりを観察する」ということです。
おそらく配属されてすぐには大量の仕事は任されないと思いますので、しばらく周りのことを見る暇はあると思います。
なお、まじまじ見つめると嫌がられますので、さりげなく観察してくださいね。
どのように朝席につくのか、どのように電話対応するのか、どのように上司や同僚とコミュニケーションをはかっているのか、どのように余白を過ごしているか、など。
私が最初に勤めた会社では、外出するときは「いってきます」「いってらっしゃい」、帰ってきたら「ただいま帰りました」「おつかれさまでした」とみんな声をかけていました。
ところが、次に勤めた会社はどなたも声かけをしません。黙って出かけて、黙って帰ってきます。
どちらがよい、悪いではなく、会社の文化だと思っています。
黙っている会社では、みな自分の仕事に集中していて、じゃましないことが大切にされていました。
また、名前の呼び方も、役職をつけて呼ぶところもあれば、どのような役職の方も「さん付け」で呼ぶところもありました。
ニックネームや下の名前で呼ぶところもありましたが、私は苦手でした。
文書が回ってくるようになったら、文書のフォーマットや使われている語句、漢字などにも留意してみてください。
文書規定で細かく決められていることもありますが、暗黙のルールがある場合もあります。
観察をしていると、いろいろなことが見えてきます。
これから皆さんが関わることになる文化です。
これまでの自分の常識と大きくかけはなれている場合もあるでしょう。
違和感がある場合は、どうしてその文化が生まれているかを考えてみるのもよいかもしれません。
チューター役の先輩などに尋ねてみてもよいと思います。
でも、会社の文化に無条件に染まってください、とは言いません。
会社の文化を知り、馴染むというかうまく付き合うという感じがよいと思います。
とはいえ、いつの間にか染まっていたということもよくあります。
先輩(私)から見ると、染まらずにいてほしいと思うこともありましたが。
それなら文化を変えたらどうか、と言われますが、これがなかなか変わらないこともあるのです。たくさんの人で成り立っている会社ですし、人それぞれなのです。
新入社員の皆さん、まずは「会社の文化を知る」ことをお勧めします。
ところで、電話が苦手という方が多いようです。
うまく受け答えできるか、うまく引き継げるか不安でしょう。
不安を少し和らげるヒントを2つ。
① 名前を覚える
あなたの周りに座っている人の名前、取引先の会社名などを覚えましょう。
電話に出たときに、名前が聞き取れると受け答えに余裕がでてきます。
「ウイナリーさん」を「お稲荷さん」と聞き間違えた知人の後輩がいました。
「稲荷」という名前の人がいなかったので、いったい誰?となったそうです。
② 耳コピをメモ
初めのころは会社でよく使われる用語もあまり知らないので、相手のしゃべっていることが理解できないかもしれません。
意味はわからなくてもよいので、相手の方が発した言葉・単語をそのままメモします。耳コピでよいです。
そして、電話をつなぐ相手にそのまま、聞いたまま伝えれば、なんとなくでも相手の方は理解してくれるでしょう。そのわずかな情報も大切です。
ある日、ネットワークのことで回線業者に問い合わせをした同僚が連絡してきました。
「聞いたまま伝えるね、局側にモニュタンという機器があってそれが原因で・・・」
モニュタン?聞いたことないしネットで検索してもヒットしません。
それを引き継いだ私は回線業者に別途連絡しました。
「モニュタンという機器が原因とお聞きしたのですが・・・」
対応してくださった方、さすがでした。
「はい、それは網終端装置(もうしゅうたんそうち)と言い・・・・」
そっか、日本語だったのか、と後で同僚と大笑いしました。
少しずつ知識は増えていきますから、最初は耳コピでよいと思います。
電話応対は場数ふめばそれなりに上手になります。
時々失敗してもよいのです。
どれもみな経験値です。
会社生活が幸い多く実りあるものでありますように。